青々とした空が酷く眩しかった。
一面にペンキを塗りたくったような、何処までも青一色。
そんな青いキャンバスに、時々色を抜いたように白い雲が風に流れて行く。
そんな空を眺めながら、ゴールドは小さく溜息をついた。
唐突にあの少女に会いたくなった。
元気にはねているツインテールに、澄んだ色した瞳。
思い出して胸の奥が暖かく、そしてすぐにズキリと痛む。
いつの間にか風船のように膨らんで、大きくなった想い。
それに気付いてしまったのは、大分前のことだったけれど。
気付いていた。それでも、伝えるのが遅すぎた。
会いたいと言えば会えるのだ。なんせお互い大切な“仲間”だから。
けれど会えない。物理的な問題ではなく、精神的な問題で。
今はおそらくあの彼と一緒に居るのだろう。
隣で幸せそうに微笑んでいることだろう。
彼も彼女も大切な“仲間”だから、自分は2人を祝福した。
せめて、この想いが無かったことにして。
伝えられなかった自分のせいにして。
自分で選んだことなのにと、苦笑する。
水晶色の彼女の優しさだとか、いろいろな表情、思い出が、
心の中でさらに大きくなって冷たく息をしていた。
青い空が眩しい。
限りなく透明な青は、彼女の瞳の色に良く似ていて。
急に虚しい思いでいっぱいになった。
そうだ遅すぎたんだと、ゴールドは理解した。
“仲間”という単語が、考えが、この想いを曇らせていたんだと。
気付きかけても目を閉じて、何も見えないフリをしていただけ。
それでも再び目を開けてみた。
そのときにはもう、自分自身よりも好きになった人。
彼の隣で、星よりも眩しい笑顔で、笑っていた。
彼女の心がもう此処には無いことを、とっくの昔に知っていたけれど。
それでも、それでも。
近すぎて見えないほど彼女の傍にいたのに。
あぁ、遠い。遠すぎると、流れる雲を見つめながら、日が沈んで深みの増した青い空に手を伸ばす。
青い空には銀色の月が存在を主張するように、柔らかく輝いていて。
いくら足掻こうが、月から空を引き剥がすことは出来ないことをゴールドは悟った。
雲よりも遠く、遠く、遠く。
自分の手の届かない方へ。

(せめて、この手がとどいたならば)
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BGM:奥華子「雲よりも遠く」